DEAレポート:電力システムの柔軟性

太陽光+風力が消費電力の50%を上回ったデンマーク

2020年、デンマークの電力セクターで消費された電力量に占める変動性再生可能エネルギー(VRE)の割合は50%となり、VREのシェアが最も高い国となりました。2000年および2010年における年平均VREシェアがそれぞれ約12%、約22%であったことを考えると、非常に大きな進歩です。

このような高いレベルのVREシェアは努力なしには達成し得ないものでした。VREシェアが増えるたびに、これ以上VREシェアを増やすことは不可能だと考えられていたのです。VRE電源が電力システムに接続され始めると、専門家たちはデンマークの電力システムに10%のVREを統合できる可能性について懐疑的な見解を示しました。VREシェアが10%に達すると、系統安定度を損なうことなくVREシェアを20%にすることは不可能だと言われました。それにもかかわらず、デンマークの主要な機関はVREの新しい現実に適応することを学び、その限界値は継続的に押し上げられてきました。その中心となった、デンマークの送電系統運用者(TSO)であるEnerginetは、「我々はエンジニアだから、我々のシステムに何ができるかを最もよく知っている」という考えから、「我々はエンジニアだから、社会が求める革新的なソリューションを開発しなければならない」と考えるようになりました。 (Ackermann, 2006; Wittrup, 2018)。

経済成長・安定供給・手頃な電力価格の維持

デンマークは現在、そしてこれまで何年もの間、電力システムにおける変動性再生可能エネルギー(VRE)のシェアが世界で最も高い国であり、現在は電力需要の半分以上を風力や太陽光でまかなっています。これらの技術を統合した私たちの経験は、デンマークの電力需要を手頃な電気料金と世界水準の電力の安定供給を維持しながら、電力システムにおいてVREシェア拡大に貢献することに成功したことを示しています。

この移行期における成果の重要な点は、デンマークがヨーロッパで最も高い電力の安定供給を維持していることです(CEER, 2018) 。これは、優れた革新的なソリューションを探し続け、それを実行してきたことによるものです。デンマークでは少なくとも過去30年間、電力供給のアデカシー(訳注: 供給信頼度のひとつで、ピーク時に十分な供給力があること)を維持できなかったことがないだけでなく、停電率も極めて低い状態を維持してきました。

いつ・どのような方策を採用してきたか‐各国へのインスピレーション

デンマークでは再生可能エネルギーの統合が長い間かけて進められてきましたが、現在の気候変動の状況では、再生可能エネルギーのシェアが低い国においてはデンマークよりも急速に進展することが求められています。パリ協定の課題に対応するためには、より早い転換が必須です。しかし、VRE導入の初期段階に位置する国々も、デンマークの経験を参考にして、より早い学習曲線に沿って、開発を一足飛びで進めることが可能です。

本レポートでは、電力市場や送電網へのすべての発電方式の公平なアクセスを確保するために、電力取引への開放から始まった電力セクターの構造改革の歴史をご紹介します。その中で、「柔軟性」(フレキシビリティ)のソリューションの進化は、それ自体が目的ではなく、むしろ費用対効果の高い方法でVREの統合を促進するためのツールとして紹介されています。

私たちデンマークエネルギー庁は、これらの経験が、電力システムの柔軟性の不足に悩む世界中の国々に、エネルギーシステムの変革を進めるためのヒントを与え、気候変動という地球規模の課題に共に取り組んでいくことを期待しています。