刊行物
25. 10月 2018
地域熱供給
この白書は、デンマークと世界中の100年以上にわたる地域熱供給の経験の集大成です。ここでは、システム、規制 の枠組み、計画、エネルギー源の効率との柔軟性、蓄熱や将来の展望についてなど、世界の関連事例を含めながら、 地域熱供給の導入や拡大したい時に考慮すべきいくつかの教訓に焦点を当てています。地域暖房と地域冷房の技 術の大部分が同じであることから、主に地域熱供給という用語を用いていますが、地域冷房においても似たようなソ リューションを適用することが可能です。
地域熱供給の価値は、暖房と給湯と冷房が個別ではなく、集中的に供給されることにあります。ある場所ではそれほ どの価値のない熱(もしくは冷気)も、それが必要とされている場所に運ばれることで非常に有益になります。地域熱 供給はこの価値創造のためのシステムです。温水または冷水は輸送手段として利用されます。簡単に言えば、地域熱 供給とは価値のある熱を持った水を、生産地から消費地へ運ぶことなのです。システムの効率は、温水または冷水の 製造、熱損失を抑えた供給、かつ消費者側での適切な設備の設置と利用の3つすべて要素から成り立ちます。
地域熱供給は、工業地帯や人口密集地域など暖房または冷房の必要性(熱密度)が高い多くの場所で実現可能で
す。地域熱供給の初期投資の大部分は、地中にパイプを敷設することによりインフラを作ることです。高品質の断熱 パイプを使用することで、インフラの耐用年数を長くすることが可能で、時とともに地域熱供給を運営するためのト ータルコストのほんの一部になります。消費者側での適切な設備の設置、供給された熱の適切な計測および温度管 理により、利用や支払いに手間がかからず、改善された室内環境の提供につながります。
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