内容をスキップ

ニュース

エネルギーに関する「持続可能な開発目標7」は各国レベルで前進

image
10 8月 2018

TrackingSDG7: The Energy Progress Report(エネルギー目標進捗レポート)」と題された報告書が、先日リスボンで開催されたSustainable Energy for All Forum(万人のための持続可能なエネルギーフォーラム)の場で発表されました。持続可能な開発のために設定した17のグローバル目標の1つとして、SDG7レポートは、2030年までに「すべての人が手頃な価格で、信頼性が高く、持続可能で、現代的なエネルギーにアクセスできること」を掲げています。同レポートによると、世界は2030年を期限とするエネルギー目標への進捗で遅れをとっています。しかし、特定の地域では確かな進展が見られ「正しいアプローチと政策によって、各国がクリーンなエネルギーの確保とエネルギーアクセスを大幅に改善し、何100万人もの生活を向上させることができる」と証明する実例が次々と報告されています。

発電分野では再生可能エネルギーの利用が進む

2015年時点で、世界の最終エネルギー消費量の17.5%が再生可能エネルギー由来、うち9.6%が地熱、水力、太陽光、風力など、現代的な再生可能エネルギー由来でした(これ以外は木の燃料利用や木炭など、従来型のバイオマス由来)。

再生可能エネルギーの分野で特に大きく前進している国は、中国、イギリス、ブラジルです。2010年から2015年までの中国の再生可能エネルギーの伸びは、世界の再生可能エネルギー消費量の伸びの30%近くを占めました。世界の最終エネルギー消費量にイギリスの再生可能エネルギーが占める割合も2010年以降年間1%のペースで増加し、世界平均の5倍を超えています。

世界の発電分野において、再生可能エネルギーは目覚ましい伸びを見せています。しかし、世界のエネルギー消費の80%を占める輸送や熱供給においては、こうした発展は見られていません。報告書によると、エネルギー消費量上位20カ国中、電力、輸送、熱供給のすべての用途で再生可能エネルギー由来が世界平均を大幅に上回ったのはブラジルだけでした。

デンマークも様々な用途に再生可能エネルギーを使用していますが、特に電力と熱が多くなっています。2010年から2015年までの期間に、再生可能エネルギーのシェアは21.35%から33.17%へ増加しました。

2017年にデンマークの再生可能エネルギー消費量が大幅に増加

2017年の一年間で、デンマークの再生可能エネルギー消費量は11%近く増加しました(石炭消費量は21%減)。これにより、デンマークはエネルギー関連のCO2排出量を大幅に減らすことができました。

2017年に化石燃料の消費量が減少したことで、エネルギー消費によるCO2排出量は前年比5.4%減となりました(電力の国際取引に関連した燃料消費や気候の変動を加味すると同5.3%減)。

エネルギー統計の速報データによると、デンマークの温室効果ガス総排出量は2017年に3.9%減少したとみられています(電力の国際取引に関連した燃料消費や気候の変動を加味すると同4.0%減)。

デンマークのエネルギー自給率は、2017年の一年間で83%から85%へ上昇しました。これは石油、天然ガス、再生可能資源による国内のエネルギー総生産量が、国内エネルギー総消費量(調整値)の85%に相当したことを意味しています。

エネルギー効率を重視した冷暖房ソリューションがデンマーク人のDNAに浸透

多くの国で、各施設が個々に冷暖房ソリューションを採用する仕組みとなっているのに対し、デンマークは1970年代の石油危機以来、集中的な暖房システムを重視する方針をとってきました。現在、デンマークの家庭の64%が地域熱の供給を受けており、デンマークが世界に誇るエネルギー効率を達成した要因となっています。

また地域熱供給は、再生可能エネルギーを含むあらゆるエネルギー源を利用できるため、柔軟で環境に優しいエネルギー生産が可能です。実際、デンマークの地域熱供給の55%が再生可能エネルギーによるものです。

Tracking SDG7The Energy Progress Repor(エネルギー目標進捗レポート)は、国際エネルギー機関(IEA)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、国連統計部(UNSD)、世界銀行、世界保健機関(WHO)が共同で作成したものです。